小説 宮部みゆき 『ブレイブ・ストーリー 中』




Amazon.co.jp 宮部みゆき 『ブレイブ・ストーリー 中』


千年に一度の儀式、「ハルネラ」には人柱が必要で
誰が選ばれるか判らない恐怖から人心が乱れる幻界の世界。

幻界はワタルの心を反映させた世界。
決して理想の世界ではなく、人々は争い理不尽なことも多い。
憎しみと怒り、優しさと勇気はどちらも等しくワタルの内にあり、
自分自身を直視した上でそれでも運命を変えるつもりかを問われる。

戸惑いながらも、ワタルは前に向かい歩き出す。
少年が成長する姿はやはりグッと来る。


宮部みゆき作品に共通するテーマに
犯行の動機が「自分は不当な扱いを受けて苦しんでいるのに
他人が楽しそうにしているのが許せない」というのがある。

普遍的な人間の醜さ、弱さを描くけど、特に現代を覆う
世相を反映していると思う。


56頁
首長は穏やかな口調を保って言った。
「愚かなるものの方が、時には、正しいものよりも遥かに強く、ヒトの心を惹きつけることがある。
 小さな心、穴のあいた心、空っぽの枯れ木のうろのような心には、愚かなるものの方が
 入り込みやすいのだ」
トローンが、トラ顔の顎をうなずかせている。
「我ら連合国家も"高地人"も、北の帝国を恐れはしない。だが、彼の地から流れ入る思想は
 恐ろしい。それはほとんど病と同じで、目に見えぬ。だが病と違い、身体の弱いものではなく、
 心の弱いものへと好んで憑く」

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[ 2017/08/17 00:05 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

小説 宮部みゆき 『ブレイブ・ストーリー 上』




Amazon.co.jp 宮部みゆき 『ブレイブ・ストーリー 上』


『ドラゴンクエスト11』プレイ中につき読書も
ファンタジー系小説にしてみる。

両親の離婚に一家心中とつらすぎる現実を変えるために
「幻界<ヴィジョン>」の世界に旅立つ少年たち。
向かった先がRPGゲーム的な現代人に都合の良い世界ではなく、
「幻界」にはその世界における厳密なルールがあるのが
物語に厚みを持たせている。


宮部みゆきは仕込みが丁寧というか、なかなか
異世界に行かないのがまどろっこしく感じたけど。


[ 2017/08/09 23:08 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

小説 麻耶雄嵩 『蛍』




Amazon.co.jp 麻耶雄嵩 『蛍』


閉ざされた洋館で殺人が起こる。

語り手がどうも別人らしいというのは何となく
判ったが、千鶴の件は解説を読んでようやく理解した。
やっぱり本格推理は苦手。


[ 2017/08/02 23:29 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

小説 篠田節子 『となりのセレブたち』




Amazon.co.jp 篠田節子 『となりのセレブたち』


五の短編集。
内容はどれもシニカルで、近代的なモラルやルールと
人の秘めたる欲望が対立するのが共通している。

特にSF的な「ヒーラー」と「人格再編」が良かった。
「ヒーラー」はむしろ男性の去勢を描いていると思う。
「人格再編」は老いる姿を見せることとは子孫に
生きることの意味を伝えることであると教えられた。


篠田節子はこういう作家だよな。
「クラウディア」は詰め込み過ぎというかやり過ぎだけど。


[ 2017/07/28 23:29 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

本 ナサニエル・ポッパー著、土方奈美訳 『デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語』




Amazon.co.jp ナサニエル・ポッパー著、土方奈美訳 『デジタル・ゴールド──ビットコイン、その知られざる物語』


2015年の本。
ビットコイン誕生からの歴史を紐解く。

金融危機を受け、政府や銀行の統制から独立した
通貨を流通させようというリバタリアニズムから始まった
ビットコインだが、利用者が増え価値が上がると
資金を持つ投資家が参入してきて、結局美味しい所を持って行ってしまう。

また匿名で迅速な送金が行えるので
麻薬の取引やテロリストの資金移動に使われる。
捜査機関の監視も強まり介入され、発足の理念である
独立性はどんどん薄まって行く。


最近もビットコインの陣営内で分裂の危機がどうにか
回避されたというニュースがあったが、信用に値するのか。
勿論ドルも円も一晩で紙くずになる危険は持ち合わせているけれども。


[ 2017/07/25 23:26 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)