小説 深水黎一郎 『美人薄命』




〈ネタバレ含む!〉

ボンクラ大学生とちょっとズレた婆さんとの、のほほんとした交流を描く
高橋留美子的な世界が、真相が明らかとなる終盤で全く違ったものに見えてくる。

遺言の調査を行った弁護士によると、内海カエは先天緑内障により失明しており、
五十治には正式な妻と子がおり、二人の恋愛話はカエの創作だった。

五十治が出征の朝に家族と撮った写真には、釦が全部揃った学生服姿で写っている。

231頁 「つまり五十治さんとは、実際にはあなたのことだったんです」
235頁 「イソダソウジ」のアナグラムが「五十治嘘だ!」
237頁 「あの時はてっきりゴミ捨て場で拾ったというそのことが、
     僕にはあれ以上危険なことをさせないための嘘なのかと……」

惚れた相手を喜ばせる嘘を生きるよすがとする姿を見ると、男女を問わず
人は灰になるまで欲望を捨てられず後悔を引きずるのだな、と思う。

釦を絡めたトリックには驚かされた。
が、最後の辞世の句は蛇足だし、沙織および杉村女史と鶴の件は
ほったらかしのままだった。



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[ 2014/02/13 23:01 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

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