小説 桐野夏生 『グロテスク』




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美貌や社会的地位など自分が持っていないものへの妬みと渇望で
自らを塗りつぶす。
自分の評価基準を他者との比較や関係性でしか計ることが出来ないのは
実に不幸なことだと思う。
登場人物たちの醜悪さにあてられて、げっそりした。

流石は直木賞作家、表現でこちらをグイと掴むようなパンチラインが多い。


245頁
でも、首には驚くほど派手なマフラーが幾重にも巻き付けられていました。
黄色と黒の縞模様。和恵は高志のために編んだマフラーを自分で巻いてきたのです。
マフラーは腹の減った大蛇が、和恵の痩せた首を締め上げているようにも
見えました。

355頁
「つまり、あたしは結婚することによって、夫の優秀な頭脳が
 あたし程度になるのじゃないかと思ったのね。頭脳の浸透圧よ」

400頁
あたしの人生が間違ったと思ったのは、あたしが中等部からQ学園に入って、
一生懸命『生え抜き』に近付こう、としていたのではないかってことね。
あなたもあたしも同じ。和恵さんも同じ。皆で虚しいことに心を囚われていたのよ。
他人からどう見られるかってこと。あたしもあなたも和恵さんも、
マインドコントロールされていたのかもしれないわね。

431頁
(皆)が至極当然のように持っているのに、あたしだけが持てないものがある。
それは人間関係だった。友達とか、恋人。心ときめく誰か。あるいは
楽しく話せる人。


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[ 2016/04/18 23:32 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

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