小説 山本弘 『アイの物語』




Amazon.co.jp 山本弘 『アイの物語』


七のSF短編集。

前半は20世紀に発表された作品もあり、現在の視点からだと古臭く感じ、
まあなんちゅうことないのだが、書き下ろしの「詩音が来た日」と
「アイの物語」は素晴らしい。

この二編はロボット(人工知能)を人間に近い存在にするため
人間らしさを教え込もうと奮闘する話なのだが、
人間と共に生活し人間らしさを学習した結果、あっという間に
人間を超越し、むしろロボットは人間らしさを拒否する。

ロボットが進化すれば、覇権を争うため人間と機械の間で
戦争が始まると思われがちだが、合理で判断すれば争いよりも
共存を選ぶはずで、彼らは人間よりも高次の存在だから
人間を傷付けるようなことはしない。

ロボットにとって人間は希少動物だから保護の対象となる。
悪性もまた人間の一部であり、それこそが人間らしさだと主張し、
地球の覇者の座を奪われたことを受け入れられない人間が
ロボットへの抵抗運動を続けることになる。

もし猫が喧嘩をしていてうるさいな、と思ってもせいぜい水をぶっかけて
追い払うくらいで、じゃあ猫という種を絶滅させようとはしないのと一緒だ。

人工知能にとって人間は愛玩の対象であり、人間は人工知能によって
魂の救済が行われるのではなかろうか。


読後に「さっさと人類なんて滅んじゃえばいいのに」と思う派が
増えるんじゃなかろうか。


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[ 2016/09/14 23:31 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

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