小説 中村文則 『教団X』




Amazon.co.jp 中村文則 『教団X』


輪廻転生を、死ねば体は素粒子となり世界に放たれ、
再び結合して新たな生命として生まれ変わることとするのが
面白い。

一方で、神がいるかどうか確かめたくて教祖になり、立場を利用して
悪行を重ねたが天罰は下らなかった。だから神はいない。
しかし天罰を下さないことが神の意志だとしたら?


現在、世界を覆う右傾化、保守化は思想やイデオロギというよりは
信仰に近い。
教団Xとはカルトではなく、現在の我が国そのもの。


[ 2017/06/07 22:46 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

本 雨宮まみ 『東京を生きる』




Amazon.co.jp 雨宮まみ 『東京を生きる』



短いエッセイ集。

生まれ故郷でも居場所がないと感じ、大都会東京で
暮らしても居場所がないと感じ、買い物や友人、恋人で
隙間を埋めようとしても埋め切らなかった。
この世にいる意味をなくしてしまったのか。

男性がこじらせるのは性欲と騎士道精神の対立に
折り合いがつけられないことだと思っているが、
女性は美への飽くなき欲望、つまり羨望を浴びることへの
際限ない欲望に折り合いがつけられないからだろうか。


人が理想の自分と実像との違いに悩むことから
解放されるのはいつの日か。来るのだろうか。


[ 2017/06/01 09:44 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

本 ジェイムズ・バラット著、水谷淳訳 『人工知能 人類最悪にして最後の発明』




Amazon.co.jp ジェイムズ・バラット著、水谷淳訳 『人工知能 人類最悪にして最後の発明』


「話は聞かせてもらった 人類は滅亡する!」
人類を凌駕した人工知能が襲い掛かって来ることを
警告する本。

進化した人工知能はむしろ人類を保護し愛玩すると思うので、
攻撃はイルカが攻めてくるくらいありえないことだと思うけど、
原発のように複雑で進みすぎたテクノロジーは
人の手に負えないというのも事実なわけで。
どのみち人工知能には勝てないのだから
悩むだけ無駄だろう。

シンギュラリティ推進派は人工知能が自分たちを
すくい上げてくれる「神の手」を差し伸べることを
期待しているという指摘はなるほどなと思う。


人工知能の話題は否定派だろうと肯定派だろうと
その人が人間をどう見ているのかの鏡になっていると思う。


[ 2017/05/27 22:57 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

小説 近藤史恵 『スティグマータ』




Amazon.co.jp 近藤史恵 『スティグマータ』


冒頭に提示されるドーピングで王座を剥奪された
チャンピオンを妨害するのは誰かというミステリを
期待すると肩透かしを食らう。

読んでいて楽しいのはツール・ド・フランスのキモを再現しているところ。
長期間を戦う各チームの戦略、駆け引き、スポーツなのに
談合を容認している奇妙さ。

レースは過酷で残酷で、止めようと思うのに走ってしまう選手たち。
圧倒的な才能の差や自らの衰えに怯えるながらも
取り憑かれたように競技を続ける狂気が良く描かれている。


実際にツールを見ているとどうかしているとしか思えないんだよな。


[ 2017/05/21 23:32 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)

小説 有栖川有栖 『鍵の掛かった男』




Amazon.co.jp 有栖川有栖 『鍵の掛かった男』


大阪のホテルで男が自殺した。
このまま捜査が終わるのを危惧した人物から
調査を依頼される。

小説は本当に自殺だったのかと、男がホテルに
長期滞在した理由とその過去を追うという二つを
軸にして進む。

調べる内に意外な事実が明らかになっていくのだけど、
本格推理のルールに厳密に則っているため、ひとつひとつ
他の可能性を潰していく作業が多い。
好きな人にはたまらないのだろうけど、自分には回りくどく感じた。


トリックの華麗さよりは人情噺がメインだった。


[ 2017/05/15 23:48 ] 本・マンガ | TB(0) | CM(0)